ある作家の回想録を読んでいた。
太平洋戦争前後の時代、一般の日本人はどんなアルコールを飲んでいたのかを知るうえで、すこし興味をひく記述があったので、抜き書きしてみます。
以下、記述の一部から。
たまに配給になる「櫻ウイスキー」というのを飲んでいた。
「宝ショウチュウ」が販売されたとき、何といううまさかと思った。
すぐにサントリーから「トリス」が販売され、デパートで試飲会があった。
友人と出かけてみると、売り場の女の子たちが「どうぞ、どうぞ」とすすめ、何杯でものむことができた。
そのあとニッカから同じ値のウイスキーが販売され、やはりデパートで試飲会があると新聞にでた。
すっかり味をしめた私は、わざわざデパートへ出かけて行った。
そして売り場の前をウロウロしたが、女の子がちっとも飲めとは言わない。
ついに「飲んでもいいですか」と訊くと、「一杯だけですよ」と言われた。
以来、私はサントリー党になった。と、書いてありました。
*メモ
終戦は1945年。サントリーのトリスの販売は翌年のようです。