Dr.FeelGoodの小部屋

小さな楽しみを見つけて、それをつなげて日々を過ごすだけ。

ある昭和の曲: 猿股の唄 高田渡&ヒルトップ・ストリングバンド

最近ラジオでかかっていた曲。

 

詩の内容が、なんともいえない奥ゆきと味があり、一本筋の通った哲学観を感じるものである。

しばし感心して、一体だれが作詞したのかと調べてみると、なんと金子光晴氏。

やはり格の違いを感じる。

 

以下、歌詞

 

父と子が二人で一枚の 

さるまたしか持ってないので

かわりばんこにはいて外に出る 

この貧乏は東洋風だ

 

父のすねには巻毛があり 

子のすねにはうぶ毛

父には何十年過ぎてこの貧乏 

子には何十年をひかえてこの貧乏

 

父が死んだので子は前よりも

豊かになった

二人でひとつのさるまたが 

一人のものになったからだ

 

だが子供が水浴びしてるとき 

カニがさるまたを引いて行ったので

子は誰よりも貧乏な 

無一物となりはてた

 

そして子は毎晩夢に見た 

失ったさるまたの行方を

誰かがそれをはいて 

世間のどこかをゆくさまを

 

子は知ったさるまたなしでは 

泥棒や乞食にもなれないと

さるまたなしでは人前に 

自分の死様もさらせないと

 

子よ貧乏なんかおそれるな 

岸づたいに行く女の子を

水から首だけ出して 

首だけ出して見送る子よ

 

かまわず丸裸で追いかけろ 

丸裸で追いかけろ

それが君のそれが君の 

革命なのだよ