ある探検家の本からの若干の引用である。
なにを問いかけても、「そら、よかったなあ。」という僧侶がいたそうである。
「今日は天気がいいですね。」、「そら、よかったなあ。」
「山でシカを撃ってしまいました。」、「そら、よかったなあ。」
「病気になりました。」、「そら、よかったなあ。」
自分で声に出していってみると、妙にそうかいなと思えてしまうから、不思議である。
問いかけた人は、僧になんらかの不安を聞いてもらいたいのであるが、本来多くのことがどうしようもない(自分ではコントロールできない)ことを問うているわけである。
「そら、よかったなあ。」といわれることで、宙ぶらりんな位置にある気持ちが、一定の位置に一旦置かれて、しかも自分の思っているところより若干高く置かれた感じになり、妙に落ち着いてしまうのであろう。
一種のはぐらかしではあるが、絶妙である。
そして、人生それでいいのだと、自分はおもうのである。