ボブ・ディランがノーベル文学賞を取った時、多分、このひとの詩がいいのだろうなあ程度にしか思っていなかった。
ほとんどこのひとの曲も聞いていなかったし、もともと洋曲はBGMと割り切り、歌詞を味わうという習慣があまりなかった。
The Band(ボブ・ディランのバックバンドをやっていた)の曲を、2曲ほどギターでまねごとをするうち、すこし距離が近くなってきた。
特に、"I shall be released"を弾くうちに、歌詞を見なければいけなくなり、「なんちゅー、すごい歌詞を書くのだ。」と驚き始めた。
そして初期の代表的ソングのひとつ、"The answer is blowin’ in the wind"をハーモニカでもできるようになろうと練習を始めるにあたり、やはり歌詞をじっくり読むに至る。
最初の一行が、ある状況下の自分の心に突き刺さった。
"How many roads must a man walk down before you call him a man"
どこまで行っても、終わりというものはなく、結局、自分でケリをつけるしかないのか。。。。
このひとは、素直に理想の世界をうたうような類のひとではなく、現実の世界の不条理、矛盾、どうしようもない自分ではコントロールできないこと、しかしながらこれらの中で現実に生きていかなければいけない人たちに、目を向け、観察している。